けあぷらの森

ファイル2 好きな言葉は「不言実行」。存在意義を持てる場に。横浜市今宿地域ケアプラザ 所長 澤木友章さん

平成21年4月より、横浜市今宿地域ケアプラザの所長を務める澤木友章さん(68歳)。神奈川県職員を約33年務め、その後、2つの特別養護老人ホームの職を経て、現職に就きました。
「おれに話を聞いても何もないよ」と断る所長を説得し、取材にこぎつけました。自ら倉庫整理や掃除、事務室の電気配線など体を動かし、「天気がいいから布団が干せるなあ」と主夫の顔も見せる、まめで気さくな所長に聞きました。

福祉とのかかわり

今宿地域ケアプラザの前で

原点は、県職員を59歳で早期退職し、「特別養護老人ホーム逗子ホームせせらぎ」で4年間、経営管理に携わったこと。
同老人ホームを創設した福祉実践者の男性から、声がかかり、まだまだ現役で仕事がしたいと決めました。
広い敷地で、イベントのテープを張ったり、300匹のこいのぼりを泳がせたり、動かざるをえない仕事が多く、フットワークの軽さに、磨きがかかったようです。

全ての仕事が面白い

「仕事は全て面白い」と言う澤木所長

県職員時代、多種多様な部署14カ所での勤務経験があります。どの仕事が面白かったか尋ねると、「全て面白い」ときっぱり。
商工部が約9年と長く、100億円単位の金銭を扱い、徹底的に数字の読み方を教わり、中国に足を運んだこともあります。6年間の企画調整関係部署では、「無」から「有」を組み立てました。
新任で、障害者施設「中井やまゆり園」建設準備班に配属されたのも、福祉との接点のスタートといえます。

早くから身近だった介護

頚椎損傷で寝たきりになった62歳の父親に、17年間寄り添ったので、介護は早くから生活の一部でした。母を手伝い、入浴や排せつ、リンゴをすったり介助をしました。

市独自のシステムを実感

地域の方々でにぎわう「くつろぎコーナー」

ケアプラザ所長になり、横浜市独自のシステムの良さを実感しました。全国的には、地域包括支援センターは孤立しているケースが多い中、ケアプラザには、地域交流、デイサービス、居宅介護支援部門が連携し、地域住民の顔が見えるサービスへとつながっています。

熱心な地域住民

子ども達と一緒に「車イス体験指導」に参加

この地域には、社会福祉活動に熱心な住民が多く、地域資源が豊富で、公的な支援だけでは手が回らない部分を、地域で支え合い補っています。社会福祉協議会が稼働し、民生委員の活動も活発です。 
「道で『こんにちは』と、地域の方にあいさつされるのがうれしい」と目を細めます。

活気あるケアプラザ

今宿地域ケアプラザの「デイサービス」
レクリエーションの時間に、地域住民が歌を披露

歌や体操など、多彩な活動で、ケアプラザはいつも活気にあふれています。
その方々が地域に戻り、孤立しがちな人に呼びかけ、ネットワークが広がればと期待します。
「常連さんは、是非、新しい人を誘ってほしい」

デイサービスでの顔

クリスマスにはドラえもんサンタに

デイサービス職員が明るく、利用者が増えています。 
朝夕の送迎のときや、デイルームを通り厨房に昼食を取りに行くとき、利用者と会話が弾みます。クリスマスには、サンタクロースになり一緒に行事を楽しむ姿も。
事故もなく、一日が終わると、ほっとする毎日で、仕事がオフの日でさえ、緊急連絡がない夕方まで待ってからでないと、大好きな晩酌もすすまないとか。

山登りで汗をかき、読書で思考、酒で至福のとき

インタビュー中の澤木所長

県職員時代、山登りが好きな人と、丹沢のほとんどの山に登りました。
「細胞の中の汚れが全部出る理想的な汗をかけるので、また挑戦したい」
読書好きで、どんな分野か尋ねると、「雑学だよ。難しい本は、頭が働かない」と謙遜。哲学や歴史に興味があると、前向きです。
仕事でもプライベートでも少し余裕ができ、改めて「人は何故生きるか」模索中。
そして、その思考に欠かせないのが(?)、酒。毎晩、焼酎のお湯割りを3〜4杯で、自分の世界に浸ります。つまみは、自ら調理したイワシの甘露煮や蒸し野菜です。

目の前にある仕事は誰かやらなければ

飯台を修理する澤木所長

好きな言葉は、「不言実行」。「あなたの仕事」と思っていては、洗濯ひとつできません。気付いた人が動くのが所長流。
ささやかなことでもやることがあれば、社会と通じ、存在意義につながるので、「ケアプラザに足を運び、仲間作りや、ボランティア活動の場として是非、利用してほしい」

家族と暮らしぶり

家族について語ると思わず笑みが

そんな所長の1日は、朝5時起床。洗濯機を回すことから始まります。まとめて炊いて冷凍してある玄米を解凍して朝食をとり、家(栄区)を出るのは7時頃。
父は長野県木曽、母は神奈川県逗子の生まれ。2つ違いの姉があり、昭和20年、敗戦の年、疎開先の長野で誕生。父の仕事で、小学2年生から就職するまで川崎で過ごしました。
この春、就職の決まった22歳の長女と、大学2年生になる次女が、家を出て東京に暮らす予定。寂しくなりますねと声をかけると、「土日に、戻ってくるよ。洗濯も掃除もしないんだから」と、今から心待ち(?)にしています。
ケアマネージャーの奥様とは、仕事の話はしないのが夫婦円満のコツだとか。

「牧場主」でもある所長。といっても、本当に牧場を所有しているわけではありません。今宿地域ケアプラザという「牧場」の中に、自由闊達に悠々と草を食べる「牛」つまり職員を飼っている「主」なのです。
牧場に職員を放し飼いにし、自由な発想や創意工夫を期待しています。「組織は人」だからこそ、所長自ら「今宿牧場」と名付けました。「自分で考え、前向きな姿勢が大切。細かいことは言わない」とふとっぱら。
そんな「今宿牧場」に、あなたも遊びに来ませんか。牛に餌をやるつもりで。餌をもらった牛(職員)は喜んで、ますます一生懸命働くにちがいありません・・・・

(平成25年3月記)