
豊かな人生のヒントに
横浜市今宿地域ケアプラザ
デイサービスボランティアさん
介護を必要とする高齢者を送迎し、入浴、食事、レクリエーションを提供するデイサービス部門は、たくさんのボランティアさんに支えられています。
現在ボランティア登録者数はおよそ30名で、1週間に延べ20名の方がいらしてくださいます。
ボランティアの内容は、利用者さんの送迎時の応対や入浴後のドライヤーかけ、おしぼりやお茶の準備、囲碁将棋や話の相手などです。
横浜市今宿地域ケアプラザが開設したのは平成13年。
開設当初から10年以上もデイサービスでボランティアを継続なさっている3名のベテランボランティアさんをインタビューしました。

- 坂東英夫さん
(中沢在住・80歳) - 目覚めてから眠るまで全てがボランティア
ボランティアが生活そのもの

利用者のお世話をする坂東さん
平成14年2月にデイサービスのボランティアを始めた坂東さん。
「朝目覚めてから夜休むまでボランティアと思って暮らしている」とおっしゃるほど、ボランティア活動が生活そのものになっています。
原動力は「頼りにされる喜び」
手帳を携帯

手帳はスケジュールでいっぱいです
サラリーマン時代は使っていなかった手帳を持ち、あるときは緑化推進団体として草刈りを、あるときは高齢者支援を手掛ける「チョコットしえんたい」として支援のための下見や終了後の確認で高齢者宅を訪問するなど、スケジュールがいっぱいです。
現在、ニュータウン老人クラブ会長から今宿地域ケアプラザ運営協議会委員まで10以上の役を引き受けています。
一番忙しいのは、旭区老人会スポーツ部の副部長の役で、いろいろ準備が大変だと話しながら、楽しそう。
金曜日からスタートする1週間

入浴後のドライヤーかけ
そんな忙しい中、金曜日はデイサービスのボランティアを最優先してくださっています。
どこにも出かけず、行事があるときは代役をお願いするなど手はずを整えて。「1週間は金曜日からスタートするのが習慣になっている」とうれしい言葉。
利用者さんへの心遣い

いれたてのおいしいお茶を準備
デイサービスのボランティアでの気遣いもきめ細やか。
例えば、利用者さんの入浴後のドライヤーかけ。
タオルで髪の毛の水分を十分拭きとり、耳の中に熱風が当たらないように丁寧にドライヤーをかけます。
お茶にも心配りが。一度に大勢のお茶をいれてしまうと、出がらしやさめたお茶になることがあるので、手はかかっても4~5人分のお茶をいれては、いれたてのおいしいお茶をサービスしています。
囲碁や将棋の相手も、利用者さんの血圧を気にしながらの応戦で、夢中になり過ぎないようにするのが難しいとか。
自慢話をしない、特定の利用者さんと仲良くしない、公平な応対を努めます。
物事全てを気にかける

お迎え中
健康法は「早寝早起き、アルコール類少し、仕事を明日に残さない」で、仲間と毎朝のラジオ体操を始めて10年以上に。
「物事全てを気にかける」というモットーは父親の言葉で、ボランティア活動がスムーズに運ぶ源のようです。

- 渡部雄吉さん
(今宿在住・79歳) - ボランティアこそ健康法
レジャーとしてボランティアをスタート

ボランティア中の渡部さん
平成11年に退職後、ゴルフや旅行ざんまいの1年を過ごした渡部さん。
新聞紙上でコラムニストの「ボランティアは究極のレジャーである」という言葉を信じ、ヘルパー2級の資格を取りました。
そして平成13年に、まずミニデイサービス「あかり」で、翌年に今宿地域ケアプラザでデイサービスのボランティアをスタートすることに。
自分の存在が生かされる喜び

お茶を準備する渡部さん
デイサービスで週2回、「あかり」で月1回のボランティアを継続するためには充分な体調管理が前提で、常日頃から体調に気を配っています。
「ボランティアこそ健康法」と渡部流健康法を提唱。
ボランティア活動は「人のために役立つ、つまり自分の存在が生かされたということで、生きている実感を強く感じる時間は他に比べるものがない」と深い喜びを語ります。
うれしい「ありがとう」のひとこと

デイサービス職員の看護師と
人生の先輩である利用者さんとの会話で体験談が聞けるのが楽しく、「ありがとう」と感謝のひとことが何よりうれしいそうです。
また、ボランティアを始めて2~3年の頃、デイサービス職員から手作りの感謝状をもらったのが心に残っています。
花や風景画を楽しむ

折り紙レクリエーションのお手伝いも
趣味は油絵。花を描くことが多いのですが、スケッチ旅行に出かけ風景を描くことも。
中学生の頃、お兄さんが描いた上手な絵を夏休みの宿題に提出して以来、「へたな絵を描けなくなったんです」と笑いを誘います。
感謝を探す

入浴後のドライヤーかけ
モットーは「日々を心優しく心穏やかに、感謝を探して感謝の心で送れますよう」で、「感謝を探す」には「日頃の中にいくらでも感謝することはある。感謝のし残し、し忘れはないか考えてほしい」という思いがこもっています。

- 仁平サト子さん
(中尾在住・75歳) - 自分が変われば丸く収まる
退職後すぐに登録

慣れた手つきでおしぼり巻き
26年間勤務した仕事を平成15年4月に退職し、これからどうやって過ごそうかと考えていた仁平さん。
5月に散歩で立ち寄った今宿地域ケアプラザでボランティア募集を知り、すぐに登録。65歳のときです。
楽しくて1日から2日に

お茶の準備
それまでは事務職で座っていることが多かったため、ボランティアスタート当初は「立っているのがつらかったけれど半年で慣れました」と振り返ります。
デイサービスで過ごす時間が楽しく、月曜日だけだったボランティアを土曜日にも増やすことに。
寂しかったと言われると励みになる

利用者とふれあう仁平さん
うれしかったことを尋ねると、ボランティアを休んだ翌週に「先週会えずに寂しかった、と利用者さんから声を掛けられること」と目を細めます。やりがいにつながります。
相手を否定せず自分の考えを変える

入浴後のドライヤーかけ
多くの利用者さんがいらっしゃる中、心無いことを言われることも。
そんなときは自らのモットーで乗り切るのだとか。
そのモットーが「相手の行動などは変えることはできないので、自分の考えを変えること」
芯の強さの源
インタビュー中は、始終相づちを打ち穏やかな仁平さんですが、何かあってもやり過ごせる芯の強さは、この言葉にあったのかと納得。
夫婦間でも親子間でも全てこの言葉を生かせば、心穏やかに丸く収まるそうです。
趣味も広がる

穏やかながらも芯の強い仁平さん
ケアプラザを通じて趣味も広がりました。
2つの健康体操や歌声喫茶に参加しています。
歌は友達に誘われ歌えるようになり、18番は五木ひろしの長良川艶歌。
長くボランティア経験を積んでいらした3名のボランティアさんの言葉は、ひとつひとつに重みがあり学ぶことがたくさん。
これからボランティアを始めるときの手本になるばかりか、豊かに生きるためのヒントになります。
このコーナー「けあぷらの森」が、これほど豊かな木=人に支えられているとは感謝してもし尽くせないほど。
そんなボランティアさんが、今宿地域ケアプラザのデイサービスの家庭的な雰囲気や、工夫を凝らし準備に時間をかけた手作りの運動会や祭り、明るい職員の細やかな気配りを異口同音にほめてくださいました。
豊かな「けあぷらの森」と「今宿牧場」の良い関係が、ますます地域活性につながりますように。
(「今宿牧場」については、澤木所長のコーナーをお読みください)
(平成25年7月記)