けあぷらの森

ファイル8 シニア世代の元気の素 音楽は私のパートナー ヴォイストレーニング講師 越智里奈さん

里奈先生(33歳)のケアプラザデビューは、10年以上前のピチピチギャルで大学生のとき。
今宿地域ケアプラザ初代コーディネーターのピアノの先生だったのが縁で、親子サロンに来て、歌やピアノに合わせてリズム遊びをしてくれました。
緊張しながら初々しく子どもと接していた姿が、ついこの間のことのよう。
その後、専門であるヴォイストレーニング指導で頭角を現し、現在7つのグループの先生として活躍中。
グループのひとつ「フリューゲル」の教室をのぞいてみると…

きらきら輝く先生ぶり

フリューゲル練習風景

フリューゲル練習風景

夜7時のケアプラザ。
「こんばんはー」と小さな体に大きな声が響き、先生は男性数名を含む約20名がそろう多目的ホールへ。
体を動かしたり、息を吸ってはいて…
「ニウニウニウ」「アエイオウー」とトレーニングに45分ほどかけます。
「眉を上げて―」「お腹を平らに―」と、明るい声と表情、堂々とした教師姿がまぶしいほど。

歌うことで自己紹介

今宿音楽祭で指揮する後ろ姿

今宿音楽祭で指揮する後ろ姿

ケアプラザ主催のヴォイストレーニング教室を2008年に初めて指導したときは26歳。
人生の大先輩である参加者に「自分の子どもより若い」「孫と一緒」と言われ、ドキドキしましたが、一番の自己紹介は歌うことと覚悟を決め、歌を披露しました。
「私にとって尊敬に値する方たちに言葉では表現できなかったので、歌うことで乗り切った」
優しいけれど厳しい(?)指導と、根っからの明るい性格が人を呼び、その後、ヴォイストレーニング教室は、ケアプラザで「ラ・ヴィオレッタ」「フリューゲル」と2つの混声合唱、地区センターでの女性合唱や童謡の会、イタリア歌曲の会など合計7つのクラスになりました。

声楽科で学ぶことを丁寧に指導

ヴォイストレーニング真っ最中

ヴォイストレーニング真っ最中

参加者の中には、他のコーラスグループに所属し、発声のスキルアップに受講する人もありますが、大半は歌うのが久しぶりで、声が出ずに困っている人たち。
まずは、普段忘れている「息を吸ってはくこと」からスタートし、整体やマッサージに行くイメージで体や喉をほぐしてもらいます。
歌うときの声の使い方は、普段とは異なり、自分が楽器にならないといけないのだとか。
眉と目の間やこめかみをやさしく広げるイメージで、非日常的な筋肉の使い方をすることで、声が響いて大きくなります。

元気が出るレッスン

うれしいのは、声の出なかった人たちから「電話で娘に間違えられた」「声が高く、大きくなった」と言われること。
「気分が沈んでいたけれど、レッスンを受けて楽しかった」「先生の顔を見て元気が出た」「大切な人を亡くし毎日泣いていたが、出かけるきっかけになった」と、打ち明けられたこともあります。
クラスに助けられ、引っ張ってもらうことも多いそう。
それぞれのクラスは、リーダーや世話役を決めて自主運営されるため、団結力が強く、レッスンを休んだ人を心配して連絡するメンバーもいます。
カルチャーセンター主催の教室との決定的な違いは、「地域のつながりを感じること。地域と関わりがもててありがたい」

幼い頃から歌が好き

親子と一緒にリトミック

親子と一緒にリトミック

臨月までエレクトーン教室に通っていた音楽好きの母親のおなかで、音楽を聴いて育ちました。
そのせいか生まれた直後から音に敏感で、聞き慣れない電車のアナウンスに泣いたり、音楽が流れてくると歌い、踊ったそうです。
しゃべると同時に歌い、2歳のときにおもちゃのマイクを片手に中森明菜をまねて、みんな大笑い。
3歳を前に歌の手ほどきを受け、童謡を2番まで暗譜しステージで歌いました。

小学生のとき声楽家の声に魅了

声楽に目覚めたのは、合唱クラブに入っていた小学6年生のとき。
母親と一緒に大倉山のホールで声楽家の歌を聴き、「ああいうふうに歌いたい」と思ったとか。
中学生のころから先生について声楽を学び、音楽大学主催の夏期講習に通い、武蔵野音楽大学附属高等学校を経て、同大学声楽科を卒業しました。
今現在もレッスンに通い、演奏活動をしているそう。

子どもや障害のある人と一緒に楽しく

歌声広場でマイクをさしだす

歌声広場でマイクをさしだす

結婚、出産を経て、その経験が生かされ、磨きのかかったリズム体操は、その後リトミック教室として人気となりました。
子どもは正直なので、準備に時間をかけ、当日は洋服や髪形を変え、表情、話し方のテンポや声色に気を付け、工夫を凝らしてのぞみます。
去年から、障害のある人たちが集う「歌声広場」で司会進行も務めるようになりました。
参加者が主役なので、マイクをさしだして歌ってもらううち「エキサイトし、『歌詞が違うよ』と言われてしまった」とうれしそう。

3足のわらじ?

おなかの子どもも一緒にヴォイストレーニング

おなかの子どもも一緒にヴォイストレーニング

家では、電車の路線や国旗を覚えるのが大好きな5歳の男の子と、言葉を話すと同時に歌って踊った2歳の女の子の母親です。
家事や育児、先生としての仕事や自分の音楽活動で休みがないため、急にガス欠になることも。
「自分の燃料を知らないので、ある日突然、思考回路が切れたり、動けなくなる」
そんなときは、夫に頼んでひとりで出かけ、お茶を飲んだりして気分転換をします。

好きなのは…

ネイルアートに夢中です。ネットのデザインを参考に、自分でジェルを使いアートに仕上げます。
お酒も好きで、「今日は頑張ったな」というときに飲むビールは格別だとか。
運転好きで、できれば中型バイクの免許を取り、大きなバイクで風を感じたいのですが…

めざすは合同コンサート

里奈先生にとって音楽は衣食住と同じで、なくてはならないもの。
自分のパートナーで、自分を輝かせてくれるものでもあります。
「自分の歌に満足したことはいまだなく、多分死ぬまで満足いかないけれど続けたい」ときっぱり。
夢は、教室を持って10年目に当たる2018年に、全部のクラスで合同コンサートを開くこと。
歌う人も聴く人も幸せな気持ちになる、そんなコンサートにしたいと意気込みます。

育ったのも、今住んでいるのも旭区。
今宿ケアプラザの印象を尋ねると「20年もしたら50代になるので、近い将来の利用者として自分をイメージしている。歌声喫茶や料理、絵など、いろいろな教室があり、ここに来れば必ず興味あることに出会えそう」とうれしい言葉が返ってきました。

(平成26年5月記)