けあぷらの森

ファイル13 サイフォンコーヒーボランティア「ペリゴール」代表菅野弘道さん

サイフォンコーヒーをいれる気迫はまるでプロ。
総勢30名近いサイフォンコーヒーボランティア団体「ペリゴール」の代表を務め、そのカッコよさは見とれるほど…

信望を集め代表に

一方で「イベントでサイフォンコーヒーをいれると3日寝込む」と冗談(?)を飛ばし、気さくな顔を見せる。
そのギャップが、なんともいえぬ味でファンも多い。
「ペリゴール」は、今宿地域ケアプラザ主催の「美味しいコーヒーの淹れ方講座」修了生が立ち上げた。
みなの信望を集め代表に選ばれたのが受講者のひとり菅野弘道(すがのひろみち)さん(73歳)だ。
「ペリゴール」のデビューは、昨年4月。
ケアプラザ主催の音楽喫茶「くつろぎカフェ」でサイフォンコーヒーをいれ好評。
月1回の「くつろぎカフェ」と自治会館の出前喫茶が恒例となった。
現在は区内外から「サイフォンコーヒーをいれてほしい」と声がかかる。
「おいしかった」と言われるのが何よりうれしいと言う。

おいしい訳

サマーフェスタで喫茶店を出店したペリゴール

サマーフェスタで喫茶店を出店したペリゴール

「おいしい」と評判のかげには努力がある。
「誰がいれても均一でおいしいサイフォンコーヒーにしよう」と自主学習会を開き、「粉を入れたら25秒、眼を離さない」など、きめ細かなコツを伝授するのは菅野さんだ。
根っからのコーヒー好きで、コーヒー講座をきっかけに自宅にサイフォンコーヒーメーカーをそろえた。

ワッペンをデザイン

「しゃれた雰囲気」も人を呼ぶ。
目を引くのが「くつろぎカフェ」で多目的ホールを飾るパネルだ。 
「IMAJUKU AREA CARE PLAZA(イマジュク・エリア・ケアプラザ)」と書かれた魅力的なパネルは、シンボルマークにと菅野さん自らデザインし、エプロンに付けるワッペンにもなった。
「男性は黒、女性は赤でそろえたエプロンの色と活気ある今宿地域ケアプラザをイメージした」と菅野さん。
字体、デザイン、色の組み合わせなど試作を重ね、たくさんの中から選ばれたアート作品だ。
趣味の陶芸、男性料理教室でもワッペンを作った。
「ロゴを見ただけでイメージがわくようにデザインする。作るまでの過程が楽しい」と目を細める。

仕事も趣味もものづくり

バラ(上)スワン(下)

白磁の作品

現役時代は、大手ゼネコンの技術者。
1982年から6年間、ドイツのベルリンに家族と一緒に赴任し、ホテル建設に携わった。
ものづくりが大好きで、少年時代は模型の飛行機を作り大会に出たことも。
58歳から始めた白磁は、15年歴のアート活動で、全美術協会主催の全美展で複数の賞を受賞。
昨年、今宿地域ケアプラザ主催の白磁教室で講師を務めた。
教室で作ることになったバラの置物を事務所受付に見本として飾ったところ、繊細で優しい作品に応募が殺到。
男性の作品だとは、誰が想像しただろうか。

8カ月かかった大作

モン・サン・ミシェルができあがるまで

モン・サン・ミシェルができあがるまで

城巡りが好きで、白磁の作品もヨーロッパの城や教会が多い。
ロマンチック街道の終点として人気のドイツ観光スポット「ノイシュヴァンシュタイン城」は、自ら撮影した正面の写真と古本屋で探した側面と裏側の写真を利用し造った。
大作の「モン・サン・ミシェル」は小島にそびえるフランスの世界遺産で、修道院部分と土台となる部分を分けて制作。
緻密な図面書き、ボール紙での型作り、組み立て、内部補強と土台作り、2つを組み合わせ、釉薬をかけ本焼きと多くの工程を経て8カ月かけ完成させた。
大きな作品ゆえに、ところどころに熱を逃すための空気穴を作るなど見えないところに手がかかっている。

モン・サン・ミシェル(左)チロル地方の教会(右)

モン・サン・ミシェル(左)
チロル地方の教会(右)

かわいい作品も

チェスター地方の木組みの家(上)箸置き(下)

チェスター地方の木組みの家(上)
箸置き(下)

ケーキ屋さんから「ショーケースに飾りたいので譲ってくれないか」と言われたのが、イギリスのチェスター地方の木組みの家だ。
絵本を見るようなかわいい家が曲線を描いて5つ並ぶ。
新作の箸置きは遊び心あふれる。
木組みの家をモチーフにした異なる形の6つの箸置きが、パズルのように正方形の箱に収まる。
「イタリアンレストランのテーブルの真ん中に置き、みんなが使った後に、また正方形に組み合わせられたら500円引きとか…」とアイデアが楽しい。

楽しく過ごすコツ

「くつろぎカフェ」にて

「くつろぎカフェ」にて

推理小説、クラシックのピアノ曲を愛し、自宅に所蔵するレコードを持ってきて聴くことができると知り、今宿地域ケアプラザの「くつろぎカフェ」に足を踏み入れ、リピーターに。
気が付けば「ペリゴール」代表になり、地域に根付いたモデル事業の講演会では、講師のひとりとして発表もする。
「いい意味でのせられた」と笑みを浮かべる。
楽しく元気に過ごすコツを尋ねると「キョウイクとキョウヨウ」と真顔で答えた。
「教育と教養?」と聞き返すと「今日、行くところがある。今日、用事があること」と笑いを誘う。

現在の最大の悩みは、サイフォンコーヒーをいれるのに忙しく「くつろぎカフェでゆっくりレコードを聴けないこと」だとか。
いつか今宿地域ケアプラザの事務室をのっとり常設の喫茶店を開きたいと、ひそかにもくろむ。
くわばら、くわばら…

(平成27年11月記)