けあぷらの森

ファイル15 体も心も しなやかで丈夫に 体操教室指導者 藤澤栄子さん

スポーツウェアでさわやかに現れ、朝から夕方まで3つの体操教室を指導し、疲れ知らず。
あふれんばかりの活力と明るさに『ビタミン先生』の別名をもつ藤澤栄子(ふじさわえいこ)さん。
なぜ体操の先生に?

佐世保から上京

長崎県佐世保に生まれ、高校まで過ごした。
「おとなしく無口で、休み時間に本を読んでるような文学少女」
「何を考えているか分からない、と友達に言われた」
「いつも壁を作っていた自分」
小中高の学校時代を振り返る言葉からは、今の藤澤さん(61歳)と結びつかない少女が浮かび上がる。
高校では演劇部に所属し、生徒会役員を務めた。
卒業後、神奈川県の公務員になり、なんのつてもなくひとり横浜に移り住む。
就職で九州から大阪まで出てくる人はあっても、遠く横浜で仕事についた女性はまれだった。
「3人姉妹の真ん中で自由気まま。自分で考え、行動し、独立心旺盛だったから」と。

体操で後遺症が治った!

20歳のころ、勤務中に車の助手席で交通事故にあい、後遺症に何年も苦しんだ。
頭痛、肩の張り、もやもや感で集中できないため、こんをつめないように気をつけ、やり過ごしていた。
勤務して3年で退職、結婚し横浜市戸塚区に住み、近くの町内会館で開催された健康体操教室に参加。
2年ほど続けると、「あんなに具合が悪かったのがうそのように調子がよくなり、体を動かすことの良さを体感した」
その体操教室の先生に「みんなにお手本を見せるモデルになって」と頼まれ、週3回ほど先生の教室について回った。

主婦のための体操教室

「勉強したい」と横浜市民健康体力づくり指導者養成講座に応募し、1年かけて実技と座学を受講。
スポーツセンターで小学生向け体操教室のアシスタントとして半年勤め、「主婦のための教室を開きたい」とスタートしたのが、現在の「オレンジの会」だ。
住い近くの自治会館で知り合いを集めて開いた体操教室は好評で、すぐに週1回から週2回になった。

新しい自分を発見

「接客も土いじりも嫌いで、花を並べるだけなら…」と始めたスーパーの花売り場のパートだったが、「いらっしゃいませ」と声をかける喜び、 会話をしながら花を売る楽しさに目覚め、気が付けばショップで花束のアレンジもするアドバイザーになっていた。
「花の仕事で人生が変わった」と。

7つの教室を指導

更なるスキルアップを目指し、日本体育協会主催のスポーツプログラマー養成講座を受けたとき、同じ受講者として教室で知り合ったのが関口和五二(せきぐちわごじ)さんだ。
関口さんは、今宿地域ケアプラザが平成14年に初めて開講したシニア体操教室の先生で、偶然、その教室を知り、顔を出したところ「手伝って」と頼まれアシスタントに。
会員が増えたので、「ひまわり会」「あさがお会」と新しく体操教室を立ち上げ、自ら指導し、現在、7つの教室の先生として、1日に3クラスをもつこともある。
「ケアプラザに来られるのは、みなさんのおかげ。みんな輝いていて、教室に来ることが私の元気の素」と嬉しそう。

心に響くアドバイス

 

「会員は友達で、会話がなにより楽しい」
だから、脚をもんだり、ふくらはぎをたたきながら『おしゃべりの場』を設ける。
食事会やクリスマス会もあり、「元気をもらい、知らないことをたくさん教えてもらっている」
しかし、指導者として厳しいアドバイスも忘れない。
「無理しなくていいが、甘やかさないで。頑張れるのに手抜きをしない。できなくても挑戦することに意義がある」とメンバーを励ます。
「先生のおかげで腰が痛くなくなった」と言われることも多いが「それは間違い」ときっぱり。
「私は号令をかけるだけ。体操は、文字通り自分を操ること」
頭を使い、脳で命令するもので、意識が足りないとできない。
「だから、全て自分のおかげ」
今、健康に関する情報はあまりに多い。
「大切なのは情報のダイエット。テレビをうのみにしてはダメ」

受け入れて楽しむ

モットーを尋ねると「人生でも体操でも、体も心もしなやかで丈夫にありたい」と。
腰、肩、ひざなど、人並みに痛みが分かる年齢になったからこそ、それに合わせた体操の動きを考えられるようになった。
ハード、ゆるめ、筋トレ重視など、会員の年齢や希望に合わせてプログラムをアレンジするが、自分で体を動かし、良いものを取り入れてきた。
フラダンスを習って楽しかったのをきっかけに、フラダンスの動きをエクササイズに取り入れた教室ももつ。
悪いときも、それを受け入れ「これより下はない」と踏ん張る。
「しなやかに」なんでも受け入れ、楽しみながら「丈夫に」次へのステップへ。
それが藤澤流生き方だ。

洋裁、編み物、パッチワークなど細かい作業が好きで、ビーズ作りが趣味。
休みの日に、こつこつと手を動かす。
今、はまっているのが「四字熟語」で、夜にクイズの本を開き、空白を埋める。
「動」と「静」、「オン」と「オフ」、「厳」と「優」。
上手に組み合わせて「しなやかに」あれ!

(平成28年6月記)

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