けあぷらの森

ファイル17 紳士曰く「自分が楽しんでるだけ」「GENKI会」世話人 根本正慶さん

ウォーキンググループ「GENKI会」の世話人を務める根本正慶さん(77歳)。

「GENKI会」は、今宿地域ケアプラザ主催の講習会「認知症に強い脳を作るウォーキングのすすめ」(全8回)に参加したメンバーが、2009年に立ち上げた自主グループだ。

つらかった自粛生活

根本さんは月1回のウォーキングを自ら企画、資料を手作りし「GENKI会」の仲間と散策を楽しんできたが、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、今年3月から自粛生活を余儀なくされ活動を控えた。
「家にこもってウツ寸前だった」と…

6月23日。自粛が解けて久しぶりに再開した瀬谷散策には元気な顔ぶれが20名ほどそろった。
「久しぶりで盛り上がった」と嬉しそう。

紳士・淑女の健康ウォーキング

「GENKI会」ウォーキングの手書き資料と仲間との写真

第110回目となる6月23日のコースは、もともと三浦半島葉山・三ヶ岡緑地の予定だったが感染予防に留意し地元近場での足慣らしとした。

手書き資料のトップにはいつも「紳士・淑女の健康ウォーキング」とあり、スタートからゴールまでのコースを分刻みで明記、地図に番号がふられ写真付きで見どころが紹介されている。

詳しく分かりやすい資料は、役所の地域振興課や観光課に直接電話をして尋ね、送ってもらったパンフレットなどに基づく。

行く先は神奈川県内を中心に公園、庭園、動物園、寺、史跡、美術館、博物館、工場、浄水場、防災センターなどバラエティーに富み、花見、バーベキュー、ランチ、忘年会や新年会も楽しむ。

東京まで足を運ぶことも。

マイペースで楽しく

「GENKI会」歩みをまとめたデジブック(DVD)

実費以外の参加費は毎回、通信費、写真代として100円のみ。
労をいとわない丁寧な準備のエネルギー源を尋ねると 「自分が楽しんでるだけ」とさらりと答えが返る。
押しつけがましくない優しさが紳士の紳士たる所以。

西部劇が大好きという根本さんが「常に紳士たれ」をモットーに名付けたのが「紳士・淑女の健康ウォーキング」というわけだ。
「独断と偏見でコースを決めマイペースでやってるから長続きしている」と自ら分析する。

仲間から「一見、強面でとっつきにくいが付き合うと意外といい人」と嬉しい(?)評をよく耳にするんだとか…

「くつろぎカフェ」に参加

初めて買ったプレスリーのレコード

紳士は音楽も愛す。

2012年から今宿地域ケアプラザが月1回開催する「くつろぎカフェ・音楽喫茶」でレコードを聴きながらコーヒーが飲めると知り、現れた。

1960年代、青春時代にラジオから流れる小坂一也やエルヴィス・プレスリーの歌に衝撃を受け、「カントリー&ウェスタン」に魅せられる。
集めたレコードは200枚を超え、その中からいくつかマイレコードを「くつろぎカフェ」に持参し、仲間と懐かしい洋楽を楽しむようになった。

気が付けば特別企画を担当

洋楽に造詣が深いことが知れると、ケアプラザ職員から「くつろぎカフェ」で1時間ほどの特別企画を依頼され、これまで「エルヴィス・プレスリー」「カントリー・ミュージック」「アメリカン・ポップス」「映画音楽」と4回の特集を担当。

選曲、資料作り、当日の司会を務め好評を博した。

昨年より参加者からのリクエストに応えレコードをかける案内人の役割も果たすようになった。

「くつろぎカフェ」で特集を担当したり、リクエストに応える

「サロン今宿」でも音楽ボランティア

音楽好きは「サロン今宿」でも発揮されている。

地域の人が気軽に立ち寄る「サロン今宿」は、2019年より今宿地域ケアプラザが情報ラウンジで開催する地域の集いの場だ。
お茶を飲みながらおしゃべり、簡単な体操、折り紙なども楽しめる。

昔の懐かしい音楽で元気になってほしいと音楽ボランティアとして手を挙げ、毎月第1火曜日「音楽の日」にジャンルを変えてCDやレコードを持ち込み曲を流す。
「人が好きで自分が楽しいからやっている」とあくまで自然体の根本さん。
楽しそうなところに自然と人は集まる。「音楽の日」はいつも盛況だ。

「サロン今宿」でくつろぐ

よく遊びよく走った幼少期

昭和18年、東京・大田区に3人きょうだいの長男として生まれる。

近くの寺でチャンバラ、鬼ごっこ、草野球、メンコ、ベーゴマなど朝から晩まで元気に遊んだ。
足が速く小中学校の運動会の徒競走ではいつも一位、リレー選手として対外試合で活躍する。
飛行機が好きで友人と多摩川の土手を半日かけて下り羽田空港まで航空ショーを見に行ったこともある。

角材を集めノコギリ、ナイフ、カンナを使い、飛行機や船の模型を造り、中学では航空科学クラブに所属。ゴム動力の竹製飛行機で滞空時間を競った。

また当時は相撲が盛んで校庭で相撲をとり大関で強かった。
体育会系かと思いきや、中学で3年間クラスの文集委員を務めガリ版で文集を作成。学級委員にも選ばれた。
世話人を務める中学3年生のクラス会は、今も先生を交えて十数人が集う。

好きだった飛行機

ガリ版で作成した文集

高度成長期、プラント建設で設計

野球チームでキャッチャーを務めた学生時代

専門学校の電子課で学び、プラントの自動制御に関係する会社に勤務。
石油コンビナート建設、LNGプラント建設、発電所建設、食品プラント建設などで自動制御の設計・製造を担当、日本の高度成長に寄与したと自負する。
忙しい毎日で、新婚時代には妻が最終電車で帰宅する夫を夕食もとらず今か今かと待ちわび半べそをかいていたこともあったそうだ。

最愛の妻と

日本全国、海外出張した現役時代

料理教室が仲間作りの第一歩

大切な妻を突然事故で亡くしたのは、定年を迎えて2年後の2005年。

定年近くには料理上手の妻に好きな料理の作り方を聞き少しはメモしておいたものの、残された息子2人と毎日食べていくのは大変だった。
「生きるためにはまず食生活を何とかしたい」と2006年より参加したのが男性向けの料理教室「初めての厨房 男性専科」(今宿地区センター主催)だ。
同じ年代の男性と意気投合し、地域での仲間作りの第一歩となる。
月1回15名ほどのメンバーで現在も楽しく学び、調理して食を楽しんでいる。
「食に関して怖いものなし。得意料理はキーマカレー、和食で、レシピがあれば洋食、中華なんでもおいしく作れる」と豪語するのは、この教室で出会った食の恩師のおかげ。
分からないことがあると気軽に電話で教えを乞う。
ウォーキング仲間を自宅に招き手料理をふるまうこともある。

リタイア後を楽しむには?

「定年退職後は、これまでの人生を白紙にリセット、自分のやりたかったことや趣味にチャレンジし、一度きりの人生を楽しんでほしい。趣味のポケットは多ければ多いほどよい」と根本さん。

料理教室をきっかけに根本さんがチャレンジしたのは絵手紙、スクエアダンス、ヴォイストレーニング、デジカメ、ストレッチ体操と幅広い。

そんな活動が突然、全て休止になった。
恐るべし、新型コロナウィルス!

「活発に活動していたからこそ、どこにも出かけられずきつかった。一日も早く、元の活動ができるようになればいい」と祈る。

ヴォイストレーニング「フリューゲル」のメンバーとして
地域の音楽祭で唄う

ケアプラザや地区センターの部屋利用が停止になったのが今年3月1日。

6月半ばから利用が再開し、月末28日に根本さんのインタビューがやっと実現した。
しかし活動には人数などさまざまな制限があり、「くつろぎカフェ」「サロン今宿」や料理教室、合唱の再開は目途がたたないままだ。
地域の人々がいつまでも元気で暮らせるようにサポートするケアプラザが、この異常事態をどう乗り切るか試練に直面している。

「コロナで行くところがなく困っている」
地域から寄せられるそんな声に少しでも寄り添いたい…
思いを強くし、襟を正す毎日である。

(2020年7月記)